研究概要 |
前年度に得られた前平衡過程に対する光学ポテンシャルの虚部を用いて透過係数を計算した。更に核内で核子と一度衝突してから吸収される透過係数も計算したが,これは入射エネルギーの増加とともに重要になることが分かった。 次に前述のエクストン数を決めた虚数ポテンシャルから,平衡過程のポテンシャルを求めた。すると温度を決めた虚数ポテンシャルと大部分は一致するが,合わない項も出てきた。そこで温度を決めた虚数ポテンシャルからエクストン数を決めた虚数ポテンシアルを導くことを試みた。温度を与えた時の核子の準位占居確率を粒子と空孔の二部に分けて虚数ポテンシャルの式に代入すると,沢山の項が出てくる。この主要な項は,エクストン数を決めた時の虚数ポテンシャルに一致する。そのほかの項はパウリの排他律に起因することが分かった。また前述の余分の項も出てきた。しかしフェルミ-流体の近似をすると、すべての項が対数関数と重対数積分で書け,全ての和をとると,温度を決めたときの虚数ポテンシャルに一致することが示された。フェルミ-流体近似がどのくらい良いかを調べるために、この近似を使わない計算を現在行っている。 光学ポテンシャルを準位密度の計算や前平衡反応の断面積計算に使うには、拡散幅を求める必要があった。このためには半古典近似が有効であることが分かり,この計算を行った。 瞬間近似の研究はプログラムの製作は進んでいるがまだ報告すべき結果は出ていない。
|