研究課題
科研費のお陰で、オプトモジュレータ第2世代テストサンプルまでに到達することができました。このサンプルでは、従来のものと比べて温度係数を何桁も下げる事に成功し、大幅な前進をすることができましたことに感謝しております。一昨年10月には、米国IEEE Nuclear Science Symposiumで発表することができました。その後、共同研究者である東京都立大でのテスト施設の整備をし、耐放射線の特性を測定しました。これはこのオプトモジュレータの持つ優れた特性を生かして高エネルギー物理実験に使用する場合、放射線レベルの高い場所での使用が多いと思われるためで、都立大のRI実験棟でコバルト60からのガンマ線照射をしました。6メガラドレベルのガンマ線照射に対して、サンプルのオプトモジュレータは殆ど劣化の兆候を示しませんでした。またオプトモジュレータに接続される偏波保存光ファイバーケーブル、シングルモードファイバーケーブル、光学的接着剤のいずれも個別のテストの結果、全く劣化の兆候が見られませんでした。従ってガンマ線に対する耐性は、各種実験の使用に充分耐えるものと分りました。今後の継続する課題は、荷電粒子線についての耐放射線特性についても測定を進めると共に、昨年から残っている課題であるphiomicronの温度係数を低くすることを研究することと、多チャンネルのデバイスを作ることであります。そこまで追求できれば、オプトモジュレータを各種の実験に実用化する段階に到達できるものと思われます。これは高エネルギー物理学実験のみならず、原子力発電所、原子核実験、宇宙線実験はじめ、多くの分野で新たな可能性を見出すものと思います。
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