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1993 年度 実績報告書

リニアコライダーの為の超格子半導体を用いた偏極電子源の開発

研究課題

研究課題/領域番号 04640315
研究機関高エネルギー物理学研究所

研究代表者

大森 恒彦  高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (80185389)

研究分担者 中西 〓  名古屋大学, 理学部, 助教授 (40022735)
栗原 良将  高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (50195559)
キーワードリニアコライダー / JLC / 超格子 / 偏極電子 / フォトカソード / 変調ドーピング / 電荷制限
研究概要

前年度に引き続き内部を低ドーピング、表面付近を高ドーピングとした(変調ドーピング)GaAs-A1GaAs超格子フォトカソードの研究を行った。この変調ドーピングにより偏極度と量子効率を共に改善できることが前年度までの研究で分かっている。我々は変調ドーピングは大電流パルス取り出しにも有効だと予想し、今までの中で特に成績の良かったものと同じ構造のサンプルを、米国スタンフォード線形加速器センター(SLAC)との共同研究の一環として、SLACに送って大電流試験をした。結果は大変良好で、2.5ナノ秒間に2.3x10^<11>個の電子を取り出すことに成功した。これは将来のJLC級リニアコライダーに要求される性能をほぼ満足する。この結果は電子銃の空間電荷制限によって制限された値でありカソード物質自身の電荷制限(カソードに照射するレーザーの光量を多くしても、取り出せる電流が頭打ちになる現象)は観測されなかった。また量子効率は2.0%と大変高い値であった。今までSLACで測定された歪GaAs型カソードはすべてカソード物質の電荷制限で電流値が制限されており、この現象は将来のJLC級リニアコライダーでは大きなネックになると考えられていただけに、この成功は極めて重要である。この成果は平成5年10月にSLACで開かれた「リニアコライダー加速器国際会議(LC93)」で報告され大きな関心を集めた。
また平成5年6月に物性研究所(東京)で研究会「スピン偏極電子によって展開する物性物理学」が開かれ、我々も偏極電子源の開発状況を報告した。このように物性研究者と高エネルギー研究者との共同研究も始まっている。平成6年2月には長野県白馬村で高エネルギー研究者による「偏極電子を用いた電子陽電子衝突実験研究会」が開かれた。ここでは偏極電子ビームがリニアコライダーでの実験において極めて重要な役割を果すことが改めて確認された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 中西,〓: "半導体フォトカソードの性能と開発の余地" 物性研だより. 33-3. 13-15 (1993)

  • [文献書誌] 大森,恒彦: "超格子フォトカソード型偏極電子源" 物性研だより. 33-3. 19-22 (1993)

  • [文献書誌] T.Nakanishi: "High Polarization Cathode Research in Japan" Proceedings of the Workshop on Photocathodes for Polarized Electron Sources for Accelerators. SLAC-432. 221-228 (1994)

  • [文献書誌] Y.Fujii 編: "Proceedings of the 2nd JLC Detector Workshop -偏極電子を用いた電子陽電子衝突実験-" 高エネルギー物理学研究所, 95 (1994)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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