炭素13を含む液体シンチレータとして、トルエンベースの混合製剤二種類を用意した。炭素13を含む物質としては、液体シンチレータとの親和性を考慮し、トルエンの炭素原子(質量数12)を炭素13で置きかえたものを使用することにした。このようなトルエンは工業ベースに乗らないため非常に高価であることがわかり、将来実験に必要な10トン以上の量を確保するには、その生産方法も含めて検討する必要があることがわかった。炭素13のトルエンを混合した液体シンチレータの特性を測る準備を現在進めている。 一方、シンチレータの特性を計測するため、光電子増培管を購入し、また、接続してデータを取得するためのエレクトロニクスモジュールを借用し、CAMACシステムを通じてパーソナルコンピュータで読み出すシステムを構築しつつある。ソフトウエアは、従来高エネルギー物理学研究所で開発されてきたものを基に、データ解析やヒストグラム表示等を行うためのサブルーチン群としてフォートラン言語のライブラリとして整理している。このソフトウエアは小規模なCAMAC-PCシステムとして汎用であるため、他の数か所の実験グループに供給して使用されている。しかし、パーソナルコンピュータから発生するノイズが微小な信号の測定を不可能にする例があり、性能計測の上でこれが問題になる場合はミニコンピュータ等を使用する必要が生じるかもしれない。
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