我々はCdMnTeにおける2eV近傍のd-d遷移に伴うMn^<2+>発光について温度圧力依存性の研究により90Kより低温では格子変位が大きい事、またこの発光の励起状態から赤外(〜1、1eV)発光の励起状態へのエネルギー移動には36meVの障壁があり圧力と共に減少する事を示してきた。これらの結果を国際会議(北京、京都、岡山)で発表出来るように測定の精密化を行い、国際会議で発表、雑誌に投稿した。さらにMn^<2+>発光及び赤外発光の強度の時間発展の精密測定を行い下記のような種々の興味ある結果を得た。Mn^<2+>発光は非指数関数的減衰を示し、高密度励起でこの傾向が強められる。またMn^<2+>発光の巾の温度依存性は配位座標模型で再現できるにもかかわらず、その寿命が測定波長に強く依存する。また巾の温度依存性から見積もられた不均一巾が50K以上でなくなる事を明らかにした。またこの不均一の影響で低温、低エネルギーでd電子の励起を行うとMn^<2+>発光のピークエネルギーが励起エネルギーの減少と共に小さくなる。価電子帯から伝導電子帯へのバンド間励起状態からd励起状態への遷移は数百ナノ秒程度、また赤外発光の励起状態への遷移は数マイクロ秒程度である。このエネルギー移動は直接d-d吸収によりd-励起状態へ励起したときより早い事を明らかにした。赤外発光の寿命が数十マイクロ秒程度で温度増加と共に寿命が短くなる事、またこのことから非輻射遷移への障壁を明らかにした。これらの結果を物理学会(1992秋 1編、1993春 2編)で発表を行(った)う。またこれらの結果を1993夏に国際会(横浜)で発表する。
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