研究課題/領域番号 |
04640322
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豊田 直樹 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50124607)
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研究分担者 |
渡辺 洋右 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00167181)
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20241565)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 有機伝導体 / BEDT-TTF塩 / (BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4 / 反強磁性金属 / 量子振動効果 |
研究概要 |
本研究で対象とする(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4は、約10Kで常磁性金属状態から反強磁性金属状態へと磁気的に相転移する。この物質は他のBEDT-TTF塩同様、準2次元伝導体であるが、この転移点以下の温度で磁気抵抗の異常、ドハース量子振動の分裂、また20数テスラ以上の強磁場下で再び高温相の金属状態に復帰する現象、等々他の塩では見られない究めて面白い性質を示す。われわれは、この問題を閉じた2次元的なバンドと開いた1次元的なバンドが共存した低次元電子状態の観点から調べてきた。本研究で得られた成果は次の3点に要約される。 1。転移温度以下で伝導面内のホール係数が数倍大きくなる異常を観測した。これは、基本的にはかなりのキャリアーが消滅したことを示唆し、スピンあるいは電荷の密度波が発生した可能性と矛盾しない。 2。ドハース振動の波形分裂を強磁性的な交換相互作用がゼーマン準位間に働いたとするモデルで説明した。 3。磁気抵抗の面内方向依存性と角度依存型振動の結果は、低温相での開いた軌道の方向が高温相と違っていることを示唆する。このことは、転移に伴い格子の歪が生じていることを意味しており、電荷密度波とスピン密度波の共存の可能性を指摘した。
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