研究分担者の高畠は、本年度U-T-Ga(T=Ni、Cu、Pt)の探索を行った。これまでの研究からU-T-X系でUの5f状態を決定するのは、Xのp状態が重要な役をはたしていることが分かってきたので、X元素として4pを含むGaを探索の対象に選んだ。これまでU-T-Ga系ではUTGa、UTGa_5の二種類の化合物が知られており、今回の探索の結果、新たにUNi_2Ga、UPd_2Ga、UNiGa_3、UNiGa_4、UCu_<3+X>Ga_<2-X>を見いだし、帯磁率、電気抵抗および比熱の測定を行った。これらの物質のうちでγの値が200mJ/K^2mol以上の重い電子状態は、UCu_<3+X>Ga_<2-X>(x=0.1、0.3、0.8)で実現していた。特にx=0.8では1.3Kまで磁気的秩序が現れていないので、今後NMRの測定を行う予定である。 研究代表者の小島は、U_3Pt_3Sn_4について^<195>Pt、^<119>Snのナイトシフトの測定を4.2Kから室温まで行い、温度の低下とともに増加するナイトシフトの値が、He温度付近では飽和することを見いだした。これは帯磁率の測定では見られなかったもので、ナイトシフトは不純物相の影響を受けにくいので、値が飽和する温度領域で5f電子が遍歴的になっていることを示唆している。この結果は、本年8月にアムステルダムで開催される強相関電子系の国際会議で発表する予定である。当初予定していた緩和時間の測定はナイトシフトの測定に手間取り開始が遅れたが、アムステルダムでナイトシフトの結果とともに公表する予定である。
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