研究概要 |
溶融塩混合系における結合様式の差と構造の関係を調べるためAgC1-AgI混合系の中性子線回折行った.その結果から特にAgI濃度の多い組成で低角側にクラスター形成を示唆するピークが得られた.溶融塩混合系におけるクラスター形成等に関する微視的部分構造を調べるためにCu-ハロゲン化物(CuC1,CuBr)及びAg-ハロゲン化物(AgC1,AgI)についてEXAFS測定を行いそれぞれCu及びAgイオンの周りの部分構造の詳細を調べた. 溶融ハロゲン化銅の場合も溶融ハロゲン化銀の場合も中性子線回折の結果に比べて異種イオン間の距離が約0.1-0.2A程度短い値を示す結果が得られた.これはイオン性に加えて共有結合性が存在する結果と考えられる.また溶融ハロゲン化銅の場合イオン間に四面体配位が少し崩壊したリング状のtrimerを,溶融ハロゲン化銀の場合も同様なtrimer形成を示唆する結果が得られた.これらの結果は非晶質物質国際会議(1994,Praha)で発表予定である. 溶融塩のイオン性及び共有性の結合様式の差によるダイナミックス,輸送現象を調べるためAgIにCuを固溶させていく時(Ag_xCu_<1-x>)I混合系の交流電気伝導度の測定を行った.これによるとAgIにCuを固溶させることによってalpha相のイオン伝導度は減少し活性化エネルギーが増加する結果が得られた.現在これらの結果を解析中である. また金属-非金属転移の際の構造変化とイオンの周りの電荷分布の変化についてカルコゲン液体,特にTeを中心にX線と中性子線回折の結果の差から非金属状態から金属状態への構造変化の際のイオンの周りの電荷分布に関する興味ある結果を得て,これを学会誌等に公表してきた.
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