1.2つの電源で2次元平面内で磁場勾配方向を可変でき、かつ高線形性の強磁場勾配を生成するZupancic型MRI用のイメージングコイルを、有限要素法を用いて開発した。これを組み込んだ誘電体共振器を用いたESRイメージング装置を試作した。標準試料を用いて感度、分解能等を調査中である。今後強弾性体の分域構造観測を継続して行う。 2.(1)STM用の温度可変装置と一軸性応力印加装置を試作した。 (2)これを用いてEuP_5O_<14>強弾性体に金蒸着を施した試料表面の分域観測をキュリー温度まで行い、これより単斜晶系のbeta角の温度依存性を求めた。他方温度可変装置付きのX線4軸自動回折計のomegaスキャンモードを用いて、beta角を求め比較した.(3)AFM用の微調移動ステージと、試料温度可変装置を試作した。(4)上記温度可変装置を用いてGdP_5O_<14>強弾性体のAFM測定の温度変化を行いbeta角の温度依存性を求めた。(3)AFMで分域境界を高分解能で観察し、データをPC98に移し、最小二乗法等を用いて微細な表面付着物によるノイズを除去して、分域近傍の微細な構造、分域壁幅(0.6mum)等の情報を得た。(6)STM、AFM等の走査型プローブ顕微鏡の今後の発展・動向の詳細な調査研究を行った。 3.(1)Saprielの強弾性体理論で、不整合分域境界をもつと考えられているLaNbO_4強弾性体の分域間の変換行列を、X線4軸自動回折計を用いてUB行列より求めた。これによると、誤差の範囲内で整合分域境界を持つと結論された。もし不整合双晶面が存在するとしても分域境界内に限られると結論される。(2)hklの整数であらわせない不整合双晶面(W'面)を理論的に予測したSapriel理論は、分域幅が考慮されていない。上記の実験結果によると、たとえ分域境界で不整合双晶面が存在してもそれは分域境界のトランジェントな構造中でだけで、分域間は整合双晶の関係にある。Sapriel理論の修正と一般化が必要となり、さらに強弾性体、強誘電体の分域境界幅とその構造の研究が今後求められる。
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