研究課題/領域番号 |
04640358
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
鹿野田 一司 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (20194946)
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研究分担者 |
中澤 康浩 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60222163)
大嶋 孝吉 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (10114414)
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キーワード | 有機超伝導体 / ボルテックス状態 / 微小磁化率測定 / キャパシタンス法 |
研究概要 |
本研究では、微小単結晶のためのBrooks法磁化測定と、それを応用した新しい測定法により、有機超伝導体の電子状態を調べた。まず、Brooks法磁化測定装置の作製から始まった。この装置のポイントは、試料を一つの電極とするキャパシタンスが試料の磁化の変化に伴う変位に対し十分な感度をもつことであった。我々は、試料を支える材料として金細線(直径10または30μm)を用いることにより十分な感度を持つキャパシタンスを構成することに成功した。容量の変化は、本研究で購入されたキャパシタンスブリッジを用いることで十分なS/N比で検出された。完成したシステムは、磁場0から12テスラまで、温度0.5Kから300Kまでの環境で動作する。このシステムを用いて、まず、有機超伝導体κ-(DMET)_2AuBr_2の電子状態を調べた。その結果、この物質について初めてドハース・ファンアルフェン振動を観測した。振動周期より、この物質には第一ブリルアンゾーンの100%と20%に相当する断面積を持つ2種類のフェルミ面が存在することがわかった。と同時に、二つの振動が低磁場から起こることから、2つのフェルミ面がゾーン境界で分裂しないか、あるいは、しても極めて小さなギャップしか持たないような珍しいケースになっていることもわかった。そらに、電子の(自由電子に対する)有効質量比が、2つのフェルミ面に対してそれぞれ6.0、3.8と評価された。この大きな値が電子相関に関係するのか否かは、興味ある問題であり、現在、他の実験によるクロスチェックを含めて検討している。 次に、上述のBrooks法を応用した試料振動型の装置の開発へと進んだ。容量の振動を検出するに十分な時間分解能をキャパシタンスブリッジで得るところが、装置設計上最も重要な点であった。現在、システムの動作テストを続けている。
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