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1992 年度 実績報告書

レーザー励起温度波を用いた非平衡系の動的熱容量測定

研究課題

研究課題/領域番号 04640360
研究機関筑波大学

研究代表者

小島 誠治  筑波大学, 物理工学系, 講師 (90134204)

キーワードレーザー / ガラス転移 / 動的熱容量 / 温度波 / フラジル.リキッド / プロピレングリコール / コール・コールプロット / 構造緩和
研究概要

平成4年度は、レーザー励起温度波による動的熱容量測定を、主として低温度域で精度よく測るため、最初に温度可変型低温測定用セルを設計し、いくつかの予備実験を経て、実際にセルを試作した。励起光源についても、より高い輝度で安定した正弦的強度変調が行なえるように、高出カシングルモード半導体レーザーを導入してS/N比の向上を行なった。これらの改良により従来の測定用セルに比べて、特に位相の変化が正確に測れるようになった。またこの結果、温度依存性の測定では以前よりも温度制御を正確に行なうことが必要となり、このためシリコンダイオード温度センサーを用いた高精度デジタル温度コントロールが使えるように改善した。
次に以上のようにして行なった位相精度ならびに温度制御の点での改良を生かして、液体・ガラス転移の構造緩和現象を調べた。対象とした試料は、最近になってガラス転移の動的機構が理論的に明らかにされつつあるフラジル・リキッドの典型例とされるプロピレングリコールである。この系は約170Kにガラス転移点があり、それより高温側の数十度の過冷却液体領域において、1Hz〜1KHzの範囲でレーザー励起温度波に対する応答信号の振幅と位相に、構造緩和に起因する明瞭な異常を見出すことができた。その一定温度における周波数依存性より、動的熱容量についてのコール・コールプロットを行ない、デビットソン・コールの式により緩和時間の分布を評価した。その結果、エンタルピー緩和における分布は、誘電緩和に比べて明らかに広いことがわかった。この事実は、誘電緩和が極性分子基の配向変化をとらえているのに対し、エンタルピー緩和では運動についてのあらゆる自由度を同時にとらえているためと考えられる。またこのことを微視的立場から理解するために、ラマン散乱の実験も併せて行なった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 小島 誠治、木暮 嘉明、比企 能夫: "非平衡系・不均質系の熱物性" 熱物性. 7. (1993)

  • [文献書誌] S.Kojima: "Thermal and Dielectric Dispersions of Suppercooled Polyhydric Alcohols" Ferroelectrics. (1993)

  • [文献書誌] S.Kojima: "Low Frequency Raman Investigation of Liquid-Glass Transition of Glycerol" Phys.Rev.B47. 2924-2927 (1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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