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強誘電性転移(転移点Ta)、超伝導性転移(転移点Tc)等を一括して、固体の相転移として見ると、意外にも種類の違いを越えた共通性のあることが目につく。特に転移点の高い物質の共通性をしらべることは、相転移メカニズムを解明する上で重要である。そこで本研究では、(1)高温超伝導性、(2)ペロフスカイト型強誘導電性、(3)水素結合型強誘電性という異なる大きなテーマについて、個々の相転移特性を説明しながら、根底でつながる統一理論へと集大成させることを目指す。まず(1)の局所構造を知る有力な手段であるNMR-NQRの理論に着手し、(3)に応用して成功した(論文掲載済)。次に(3)について、Taを高くするメカニズムと水素結合の次元との相関をしらべる理論を作った(論文掲載済)。特に一次元系については、PbHPO_4をとりあげて、擬スピンモデルでプロトン-格子結合系のTaの式を導出した(論文印刷中)。また、スピンを用いないで、プロトン平衡位置を秩序パラメーターとする新しい相転移理論を作ったが(論文投稿中)、クラスター近似で導出したTaの式は、先の擬スピンモデルでの式の拡張形となっており、この手法が異なるメカニズムの相転移にも応用できることが示唆された。さらに電子系のくり込みも検討中である。なおこの擬一次元系理論は、1次元→2次元→3次元、及びいわゆる0次元系まで含めた一般式に拡張して、一つの理論の中でさまざまな水素結合型物質のTaを比較することが可能となる(論文準備中)。水素結合の次元が低い場合、相当高いTaも期待される。このように、今年度は、(1)、(2)との関連を考慮しながら(3)の研究を進展させたことにより、(1)、(2)の研究方法も明確になった。(1)との統一的見地からすれば、ペロフスカイト構造の特異性を考慮して2次元系の電子論に発展させる目途がついた。(2)については、(3)の量子効果を、ペロフスカイト型物質の量子強誘電性の理論に発展させる糸口をつかんだ。
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