研究概要 |
半導体超微粒子の光学応答を(A)1個の微粒子球のサイズ(半径R)依存性と(B)サイズの決まった微粒子をいろいろに配列したときの粒子数および配列依存性,に分けて非局所理論により計算した.(A)についてはサイズ量子化エネルギーと誘起分極の自己相互作用の相対的な重みがRの変化とともに移りかわり,それが応答スペクトルに反映する様子を詳しく調べた.第1ピークの幅はRを大きくして行くと,QEDで知られている長波長近似の値(R^3に比例する)から次第にずれて行く.また,第1量子化準位を励起したときの内部電場のサイズ依存性を計算し,Rに対して共鳴的な増大を示す一連のピークを得た.各ピークに対応する電場の空間構造はみな違っており,ポンプ・プローブなどの非線形光学過程の中間状態として大きな信号強度に寄与するだけでなく,各ピークが異なる共鳴非線形過程を引き起こし得るという,非局所理論ならではの,従来知られていなかった興味深い予測を得た.(B)については,サイズ量子化準位を1つだけ(x,y,z方向の分極の縮退はある)もつような同一の超微粒子(球,半径R)を1,2,3次元的に並べたときの共鳴散乱スペクトルを計算し,粒子数Nと配列の仕方に対する依存性を調べた.粒子間の双極子・双極子相互作用と励起状態間の(光を媒介とする)遅延相互作用を対角化することによって,光学応答が定まるが,その中には輻射場との相互作用による準位のずれとぼけ(自然放射の寿命幅)が含まれる.このずれとぼけをNの関数として求めると,Nに比例して増大する領域(N小)から飽和する領域(N大)まで連続的に追跡できる.(N小の領域のぼけはQEDから導かれる値と一致している.)これに対応するスペクトル(無限遠での電場強度を入射エネルギーの関数として表したもの)は入射光・観測光の向きと偏光により大きく変化する.1次元配列では1波長程度のサイズまで並べると,波数保存則を反映するような傾向が見え始める.
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