研究概要 |
非局所応答理論の応用として以下の問題を研究し、個々に述べられているような成果を得た.(1)半導体微粒子集合系の共鳴光学応答を「粒子数・配置方法・サイズ・入射光の方向と偏り」の関数として詳しく調べ、サイズ量子化準位の輻射補正を含む形で応答スペクトルを計算し、その物理的解釈を与えた.特に輻射寿命のサイズ依存性に関して孤立原子から1-3次元周期配列におよぶ範囲の系について非相対論的QEDと同じ結果を得た.(2)この計算を更に発展させて試料近傍の近接場強度分布やそこにプローブがあるときの信号強度の計算を行った.これは共鳴フォトンSTMの理論の基礎になる結果で既に「プローブ位置に敏感な共鳴エネルギー変化を与える配置共鳴効果」や「反射モード測定において電気双極子遷移と多重極遷移が同程度の強度で現れる選択則消失効果」等が見いだされている.(3)半導体薄膜の励起子・励起子分子遷移をポンプする光学的シュタルク効果の計算では,膜厚dで決まるサイズ量子化準位間の遷移に対応したさまざまなスペクトル構造がdの増大にともなって波数選択則を満たす領域に主な構造が集中して行く様子を導出し,非線形スペクトルのサイズ変化を光波長に比べて試料サイズが小さい領域から大きい領域まで合理的に与えた.(4)メスバウアー共鳴回折の非局所理論的定式化を行った.(5)半導体・絶縁体界面の2次元的電子バンド間の遷移による共鳴2次高調波発生の理論を厚さ方向の長波長近似と2次元周期性に基づいて非局所理論的に定式化した.
|