• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1993 年度 実績報告書

ランダム行列理論とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 04640381
研究機関東京大学

研究代表者

和達 三樹  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60015831)

キーワードランダム行列 / 準位統計 / 直交多項式 / カオス / メゾスコピック系 / Calogero-Moser模型 / 相関関数 / 量子可積分系
研究概要

1)これまでに良く調べられてきたガウシアンランダム行列アンサンブルにおいては、行列要素がすべて独立に分布しており、その直接的な帰結として準位密度が半円形になり現実の量子系の性質を再現できない。準位分布の局所ゆらぎを使ったまま準位密度を変化させるためには、行列要素間の相関を取り入れる必要があると考えられる。そのような要請を満たすモデルとして、Balianのアンサンブルを取り上げた。このモデルにおいては、与えられた準位密度の下で情報量が最小化されており、準位間の相関は対応する直交多項式を用いて表現される。古典直交多項式に対応するアンサンブルを解析し、とりわけ指数型の分布関数をもつ実対称および自己双対四元数行列のアンサンブルについて、準位分布の局所ゆらぎの普遍性を証明した。
2)強結合電子系の変分波動関数として用いられるJastrow型波動関数に対して、離散格子上での任意次数の相関関数を一般的に評価した。
3)ランダム行列と強い関連をもつ準位統計のモデルである一次元離散型シュレディンガー方程式を考えた。このモデルは三重対角行列として表され、そのエネルギー準位は対応する直交多項式の零点になる。準位分布の局所的な特性の評価を行ない、古典直交多項式に関連する場合については局所的ゆらぎが生じないことを証明した。
4)1/r^2で相互作用する多粒子系はCalogero系またはCalogero-Moser系とよばれる。Lax演算子を用いることにより保存量の新しい構成方法を与え、この系の可積分性を示した。また、拡張されたLax方程式を用いることにより、代数的構造を明らかにした。さらに、Calogero系にスピン自由度を持たせた量子スピン系を新たに考え、その基底状態、可積分性、および代数的構造を示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] T.Nagao: "Level Statistics of Discrete Schrodinger Equation and Orthogonal Polynomials" Journal of Physical Society of Japan. 62. 46-52 (1993)

  • [文献書誌] T.Nagao: "Correlation Functions for Jastrow-Product Wave Functions" Journal of Physical Society of Japan. 62. 480-488 (1993)

  • [文献書誌] M.Shiroishi: "Level Spacing Distributions of Random Matrix Ensembles" Journal of Physical Society of Japan. 62. 2248-2259 (1993)

  • [文献書誌] K.Hikami: "Integrability of Calogero-Moser Spin Systems" Journal of Physical Society of Japan. 62. 469-472 (1993)

  • [文献書誌] M.Wadati: "Quantum Integrable Systems" Physica D. 68. 162-168 (1993)

URL: 

公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi