1.対数型2体反発ポテンシャルで相互作用する粒子系の一次元統計力学を調べた。古典直交多項式に関連したアンサンブルの自由エネルギーの温度依存性は、熱力学的極限ですべて一致する。 2.古典直交多項式に対応するアンサンブルを解析し、とりわけ指数型の分布関数をもつ実対称および自己双対四元数行列のアンサンブルについて準位分布の普遍性を証明した。 3.円アンサンブルの場合、準位相関の表式が単位円周上の直交多項式、あるいは、歪直交多項式を用いて書けることを示した。 4.直交多項式に対応する場合について、アンサンブルのエルゴード性の証明を行なった。 5.ランダム行列と強い関連をもつ準位統計のモデルである、一次元離放型シュレディンガー方程式を考案した。準位分布の局所的な特性の評価を行い、古典直交多項式に関連する場合については局所的ゆらぎがないことを、証明した。 6.ジャストロウ型波動関数に対応する実空間分布関数の表式が、直交多項式あるいは歪直交多項式を用いて書けることを示した。 7.ランダム行列の固有値は、分布端では普遍性の破れがあることを示した。その破れ方には単一のパラメータのみによって記述される規則があり、弱い普遍性があるとみなせる。 8.振動が加わった時のハミルトニアン行列の運動は、可積分な古典系の運動とみなされるが、局所成分の運動に対する統計的な記述を議論した。 9.ランダム行列のアンサンブルの中で、特に指数型の分布関数に対応するものは、メソスコピック系の電気伝導度を決める転送行列のモデルとして適当であることが示された。 10.古典カロジェロ系とマトリックス接型の関係を考察した。
|