研究概要 |
1.1年目に実験した超低速の陽電子のN_2,CO,CO_2分子による散乱の全断面積の研究を論文にまとめる仕事をした。 2.10^<-6>Torrの高真空で透過型輝度増強(Brightness Enhancement)法の実験を試みた。これは超高真空で成功しているBE法を高真空下で適用するものである。実際には多く使用されている一度真空外に取り出してから再度真空に入れて使用する実用型のタングステン(W)モダレータの場合と比較して,高真空のままで使用する本研究の方法が有効か否かを判断することになる。測定結果は作られたビームのエネルギーの幅は3.4eVから1.4eVに狭くなり改善されたが,強度が予想よりはるかに弱くなった。なお,ビームの収束のための実験装置を作り上げたが,未だ結論を得ていない。また,この真空度でのWモダレータの仕事関数を求めることができた。この研究は本年5月の国際シンポジュウムで報告の予定である。 3.Einzel Lenzでビームの収束を行い,マルチチャンネルプレートで収束度をチェックする実験システムを作った。 4.このシステムでエネルギー幅も空間幅も狭い陽電子のビームが出来ればこれを利用する陽電子の気体散乱実験装置を作り,実験することになる。これは超低速エネルギーの散乱実験にとって好都合な装置になるはずである。
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