研究概要 |
1.応力記憶の性質に関する実験 水圧破砕法による応力測定が行われたボーリング孔で採取されたコアを用いた実験を行い,以下の結果を得た. (1)地殼応力の値を記憶する性質を岩石が持っていると言うことを実証するために,DRAによる地殼応力の3次元測定を行った結果,得られた各方向の応力は地殼応力のその方向の法線応力成分と解釈して良いことが確かめられた. (2)水圧破砕法で得られた結果と応力値を比較した結果,よい一致を示す場合と一致しない場合があることが分かった.特に,水圧破砕法の結果に認められた最(大剪断応力/法線応力)の比の深さによる極端な相違は,DRAによる結果には認められなかった.この原因については検討中である。 海底下で採取された比較的空激率の大きな玄武岩コア試料にDRAを適用して, (3)地殼応力値は岩石の個体部分に記憶されている応力の値と岩石の空激にある流体圧と空激率の積との和で表されることが明らかになった. 2.岩石内応力場の均一化過程に関する実験 (1)一定の一軸圧縮応力を印加し続けた試料を再度一軸圧縮して,コンプライアンスを調べた結果,印加し続けた応力でコンプライアンスの低下が認められた.これは試料内の応力場が均一化され,試料の非弾性変形量が印加され続けた応力で小さくなることの一つの証拠と考えられる. (2)コンプライアンスの低下のはやさは試料に含まれる水分の量に関係しているように見える. 以上の結果は一軸圧縮試験によるものであるが,結果を普遍化するために,静水圧加圧容器を製作し,試料に一定静水圧を現在印加し続けている.
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