研究概要 |
●1.本研究の目的:本研究で目指す目標は、フォッサマグナから東経132°に至る西南日本東部全域を、総合精度で0.5〜1mgalを保障する高精度の稠密な測定点で隈無く覆い尽し、これで精密な重力異常図を完成する事、及びそのデータベースを構築して任意の範囲での利用をし易くする事である。更に、この範囲を越える関東・東北日本および西南日本西部の各地域についても、収録できたデータは全て同一規格への高精度化改定を完成させる。本データベースは、地質学・測地学等の進展にも大いに貢献する。この目標実現のために、(1)空白地域での測定の補充と既存データの収集、(2)全データの規格化と既存データの精度向上のための全面的改定、(3)データベース化を行う。 ●2.本年度の実績:3年計画の初年度に当たる本年度に達成した事項は、以下の通り。(1)測定の補充:最も大きな空白地帯の内、甲府盆地と丹沢山地を中心とした一帯、及び岡山県西部・広島県東部・島根県東部一帯で1,928点、また本研究交付金以外の費目により、東海地域沿岸部・雲仙周辺その他で1,632点、合計3,560点の測定を実施、当初目標を大幅に上回った。一方他機関の既存データの収録について、許可の取り付け等一定の前進を見た。(2)収録既存データの全面的改定:座標精度が不足していた国土地理院データの改定を完了し、本項に係わる作業はあと僅かとなった。(3)データベース化:既収録全データファイルのデータベース化を完了した。 ●3.得られた成果:a)空白解消が一層進んだ。b)本データベースを一度に図化可能な地質調査所で作図した結果、0.5〜1mgalの高精度を保障する超精密重力異常図とも言える図ができる事を確認した。この結果、顕著な地質構造線や活断層に沿った重力急変帯、伊豆・丹沢の衝突の他、重力以外では知られなかった興味深い構造が各地で見つけた。
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