研究課題/領域番号 |
04640406
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
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研究分担者 |
榎本 浩之 北見工業大学, 工学部, 助教授 (00213562)
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (30185251)
若土 正暁 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60002101)
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キーワード | 極地海洋 / 大気-海洋相互作用 / 海洋構造 / 海洋熱流量 / 海氷 |
研究概要 |
第31および32次日本南極地域観測隊によって得られた観測結果の解析から以下のことが明らかになった。 リュツォ・ホルム湾定着氷下の流れの変動機構を流速データの解析と理論・数値モデルにより調べた。データ解析により、定着氷下の流れの方向や大きさは定着氷縁の位置によって大きく変わり、その変動は風と有意な相関があることが分かった。解析モデルと数値モデルによって、定着氷下の流れの変動機構は、沖の風の応力によって誘起される沿岸捕捉波によって説明されうる。興味深いのは定着氷縁の位置によって卓越する沿岸捕捉波のモードが異なることである。すなわち、氷縁が後退している時は、第1モードが卓越するのに対し、氷縁が陸棚斜面まで前進している時は、第2モードが卓越しまた相対的に流れの変動は小さくなる。以上から、定着氷縁の変化はリュツォ・ホルム湾内の循環を大きく変化させ、湾内の海洋構造や熱流量にも影響を与えると考えられる。 リュツォ・ホルム湾内の定着氷の厚さは、積雪深の増大に対応して大陸から離れるに従って増大していた。積雪の多い地域での海氷は異常な成長を示した。そこでの海氷は、厚い積雪と海氷のため冬の間でも殆ど成長していない。しかし、夏の時期に極めて大きな氷厚の増大が認められた。これは、積雪の融解水の再凍結ため海氷が上方に成長したことになる。その証拠として、(1)雪尺の測定、(2)海氷の構造・塩分・δ^<18>Oのデータ、(3)1990,1992年両コアの比較、(4)1992年1月の海氷/積雪界面の帯水層の存在が挙げられる。このことから積雪が海氷成長に極めて大きな役割を果たしていることが分かった。
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