本年度は、昨年度の撮影した、ケロシン中を落下する雪片の融解・分裂の様子を示しているビデオテープ画像の処理を行なった。即ち、録画テープを再生し、画像処理装置を用いて雪片映像をコンピューターに取り込んだ。画像処理装置は、1画面当たり512x512画素、濃淡256諧調の分解能で画像を取り込むことができる。従って、撮影空間との対応から1画素当たりの長さは、0.08mmであった。通常、直径0.1mm以上のものを雨滴と定義しているので、ここで得られた値は分解能として十分である。雪片映像からは、粒径、断面積、凹凸度、モーメントを計算し、融解後の水滴画像からは、融解水滴の粒径分布と、それらの総和である融解前の雪片の質量を求めた。これらの解析の結果以下のことが明らかとなった。 (1)大きい雪片ほど分裂する個数のばらつきが大きい。このことは、大きい雪片であるからといって必ずしも大きい雨滴になるとは限らないことを意味している。逆に、小さい雪片ほど一つの雨滴にまとまり易く、結果として大きい雨滴を形成しうることを意味している。 (2)モーメントの小さい雪片ほど、融解後に大きな雨滴を作りやすい。モーメントが大きいという事は、一つの雪片の中で質量の濃淡が多いことを意味している。従って、ここで得られた結果は、雪結晶の併合の仕方にむらがあるほど小さい雨滴が形成され易く、ほぼ中心に固まって併合している場合には融解後も一つの大きな水滴を形成することを意味している。 (1)の結果から、ある大きさの雪片が融解後に形成する雨滴の粒径分布を、確率的に計算することが可能になった。また、(2)の結果から、確率的に融解する理由についての物理的解釈が可能になった。
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