研究課題/領域番号 |
04640414
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大畑 哲夫 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (90152230)
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研究分担者 |
岡田 菊夫 気象研究所, 応用気象研究部, 主任研究官
瀬古 勝基 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (70196971)
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キーワード | アルベード / 積雪域 / 波長別アルベード / 黄砂 / バクテリア / 藻類 / 融解モデル |
研究概要 |
二年間にわたる積雪域での現場測定、積雪中の不純物の分析解析、融解モデル計算から得られた融解に与えるアルベードの感度研究から以下のことが明かになった。 (1)日本の高山域(北アルプス立山地域室堂、内蔵助雪渓)の雪面観察、アルベード測定結果から次のことを得た。 (a)雪面の種類を反映する色は、融解期初期(5、6月)の茶褐色から後期(8、9月)には黒色に変化する。初期は黄砂等の鉱物粒子が大部分を占めたのが、後期には藻類、菌類やバクテリアの比率が高くなっていく。鉱物粒子が、色の濃いバクテリアで覆われて行く過程も見られた。表面での不純物が増加していくに従い、波長別アルベード、全波長アルベードは徐々に低下するが、7月下旬を境にしてその変化の勾配が急になる。これには、バクテリアの増加が影響している。 (b)融解期1x1kmの範囲の積雪アルベードの空間分布を見ると、0.39〜0.48の間をとっていた。アルベード値の低い場所は、堆積期や融解期に近隣からの土壌粒子の混入が多いと推定される場所(風上に冬期も裸地がある場所、融解期に隣接した地面が早く露出する場所)であった。 (2)積雪や氷河の融解期のアルベードのばらつきが融解に対して、どの程度の影響があるかに関し、氷河融解モデルを作成し、アルベードに対する融解量の感度研究を行った。大気条件は、ネパール東部の観測結果を用いた所、比較的新しい雪の5%程度のアルベード変化でも融解量に大きな差を生じた。融解期の表面アルベードを決める有機物の量のみならず種類とその時間変化が氷河の季節融解量を決める一つの重要な要素であることがわかった。今後、モデルに組込める形で、雪面の黒化過程をパラメタライズする必要性が明かとなった。
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