研究課題/領域番号 |
04640418
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
尹 宗煥 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (80111459)
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研究分担者 |
久保川 厚 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (00178039)
竹松 正樹 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50038535)
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キーワード | 西岸境界流 / 離岸 / 水平渦動拡散 / 離岸緯度 / スヴェルドラップ輸送 |
研究概要 |
西岸境界流の離岸機構を調べるため、 1)reduced gravity modelによる理想海での数値実験、2)reduced gravity modelおよび3)多層位モデルによる対馬暖流の離岸の数値実験を行なった。 1)では離岸機構についての基礎的な研究を行なった。モデルの南半分にのみ(亜熱帯)循環系が存在する場合、内部境界面の水平渦動拡散係数κが臨界値に達するまでは、離岸緯度はκが大きくなるほど北上し、臨界値を越えると、西岸境界流は離岸後、強流帯としての性格を失って、幅の広い海流となり、curl_zτ=0の緯度よりはるか北まで流れていくこと示され、水平拡散係数κは離岸緯度を北上させる効果を持つことがわかった。 2)では、実際の日本海上の月平均の風を用いて計算した結果、対馬暖流(東韓暖流)の離岸には、極前線以北の反時計回りの循環の存在が必要であることが示された。この反時計回りの循環はこのモデルでは冬季の季節風によって形成されるが、その体積輸送は3〜4Svもあり、これが韓国東岸を北上してくる東韓暖流と出会うことによって、東方に離岸することになる。したがって、離岸緯度は、北上する東韓暖流と北方の反時計回りの循環の強さに依存することになる。 3)は、2)のモデルは冬季の極前線北方の弱い密度成層を表現することが出来ないため、風による循環が過度に強化されている可能性があり、また、冬季の海面からの冷却の、この循環に与える効果を調べるために行なった。しかし、このモデルでは極前線北方の循環の発達が弱く、その結果、東韓暖流は観測された平均的緯度(38゚N)よりかなり北で離岸することになる。 今年度の研究を通じて、西岸境界流の離岸には亜寒帯循環系の反時計回りの循環の存在が重要であり、密度拡散の効果も無視できない要素であることも明確に示された。
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