磁気圏プラズマシート・リングカレント領域の電流系特性の決定 AMPTE CCE衛星で得られた地磁気データを活用し、L=4-9RE領域の磁気圏赤道面付近に発生する電流系の構造を、地磁気静穏時・擾乱時について決定できた。主たる結果は次の通りである。 (1)地球磁場に直角な水平電流はL=4-9全域で西向きに流れるアチィムサル成分と、地球に向かって流れるないしは地球から外向きにラヂアル成分より成る。アチィムサル電流の強度は21-02時帯で最大で、最大値は5nA/m^2になる。ラヂアル電流は擾乱時には、L=4-9全域で12-21時帯で地球向きの、23-06時帯で地球から外向きの系統的流れを示す。強度はアチィムサル電流の約1/5である。 (2)観測データよりJ×B分布も決定できた。静穏時・擾乱時共に、L=4-9全域で、どの時間帯でも地球に向く。大きさは5x10^<-7>nPa/m程度で、Lが小さい程(地球に近いほど)大きい。CCE衛星によるプラズマデータを用いた過去の研究と比較検討した結果、J×B力との力の釣合は、90%近くがプラズマ熱圧力勾配(▽P)により、プラズマ圧力は地球に近づくにつれ急激に増加していることが知れた。 (3)水平電流分布の発散を求め沿磁力線電流分布も決定できた。擾乱時には特に顕著で、基本的にはL=4-9全域で14-22時帯で系統的に電離圏に流入し、02-10時帯では電離圏から系統的に流出する電流系で、Region2電流系の一部を形成している事が判った。この沿磁力線電流系の発生には、主としてプラズマ圧力が関与しているが、プラズマ対流運動効果も無視できず、内部磁気圏では、太陽風・磁気圏相互作用ダイナモと熱圏中性大気ダイナモに伴って発生するプラズマ対流運動のカップリングが生じているとの見解に達した。
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