研究課題/領域番号 |
04640425
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
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研究分担者 |
足立 樹泰 京都大学, 超高層電波研究センター, 学振特研
村山 泰啓 京都大学, 超高層電波研究センター, 学振特研
中村 卓司 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (40217857)
山本 衛 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (20210560)
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キーワード | 大気重力波 / 大気層の力学的結合 / 周波数・波数スペクトル / MUレーダー / ジェット気流 / 赤道域積雲対流 / ロケットゾンデ / ラジオゾンデ |
研究概要 |
本研究では、MUレーダー・分反射レーダー・流星レーダー・ロケットゾンデ・ラジオゾンデ・ライダーといった多種類の測定技術を用いて観測された、風速・温度の高度プロファイルに現れる変動分の特性を解析した。この結果、大気運動の内数分から十数時間の時間スケールを持つ中規模擾乱は主に大気重力波によって説明できることが分かった。さらに、大気重力波の特性を定量的に表記するために、風速・温度変動の周波数・波数スペクトル解析を行い、各高度領域におけるスペクトル分布の相違を比較研究することで、力学的エネルギーの生成・輸送・伝達のプロセスを研究した。 卓越する大気重力波の振幅と鉛直スケールはともに高度とともに増大するが、これは大気重力波の線形理論をもとにした飽和スペクトルモデルを仮定することで説明できると考えられる。オーストラリア、カナダ、フランスにおいて得られた観測結果を比較し、大気重力波の活動度の緯度・高度変化を明らかにした。中緯度では、主にジェット気流による波動の励起が重要であるのに対して、赤道域では積雲対流にともなう大気擾乱が波動として上方に伝搬することが明らかになった。 これらの研究結果を総合的に解釈することで、大気重力波は主に地表付近や対流圏内で励起され、中層大気中を鉛直方向に伝搬し、中間圏において砕波することで、中層大気さらに電離圏に至る広い高度領域にエネルギーや運動量を輸送し、地球大気層の上下間の力学的結合を引き起こすという重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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