研究概要 |
本年度は2ケ年に渉る本実験計画の初年度にあたり、実験装置の作成、および液体Bi-Ga合金の電気抵抗の実験的研究を実施した。装置製作として、従来から所持していた高精度デジタルボルトメーターと今回購入の微小電圧用スキャナーユニット,直流電源およびコンピューターを組合せて、自動高速電気抵抗測定システムを構築した。この測定システムを使用して液体ビスマス-ガリウム合金の電気抵抗を冷却過程で測定し以下の知見を得た。なお,このビスマス-ガリウム合金は液相において互いに混じり合わない領域-二液相分離領域-を持つ事が特色である。 1)電気抵抗は,二液相分離の臨界点近傍でその減少速度を増加させ,均一液相の過冷却状態で急激に低下した。 2)臨界点近傍において,均一液相側の電気抵抗の温度係数は極大を示している。 3)均一液相の過冷却挙動は二液相分離の際の安定性に関する準安定と不安定の境界のスピノーダルを反映したものとなった。 以上の結果をゆらぎの生成・発達の立場から統一的に説明した。さらに,平成3年2月実施の液体ビスマス-ガリウム合金を対象にした小型ロケットによる無重力下の電気抵抗測定実験の結果の解析を実施し,各方面の学会にて発表した(ロケット実験は、文部省宇宙科学研究所S520ロケット を使用して実施している)。
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