液体中の分子のダイナミックスは時間の長い領域では拡散方程式で記述できる。しかし短時間領域での挙動は初期条件に依存するのでいわゆる慣性項を考慮しなければいけない。このためにFokker-Planck-Kramers(FPK)の式より出発して得られた主存結果を下に記す。 (1)FPKと等価な一般化Smoluchowski(GS)をSackの方法に従い非常に簡潔に得ることができた。この拡張された拡散方程式の拡散係数は時間に依存し、時間t=0の速度分布にも依るがt→∞で、通常の時間に依存しない定数になる。この係数はt=0で0で時間の単調増加関数となる。 (2)従来の反応係数(流束)及び生成物濃度の時間依存性は拡散係数が単調に増加するのにも抱わらず、慢性効果による短い時間領域と拡散過程に支配される長時間領域の挙動には明暸な晝があることが明った。特に短い時間領域では拡散のダイナミックスが遅くなる。 (3)1945年WangとUhlenbeckにより重要でしかも未解の問題であるとされた、FPKの位置に関して境界条件を導入したらどのようになるかとの疑問に対する答えが解った。 (4)慣性効果がどのように沈降の短い時間領域で活いてくるかを考察することができた。 以上
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