本研究課題の期間は平成4〜5年度であり、今年度は、交差分子線による発光観測装置を用いて、直線三原子分子である二酸化炭素、二硫化カルボニル、二硫化炭素、亜酸化窒素、および六フッ化ベンゼン、五フッ化ベンゼンのヘリウム準安定励起原子によるペニングイオン化による親分子イオンの発光断面積と電子励起状態イオンの振動分布のデータをとりまとめた。さらに、発光断面積の衝突エネルギーによる変化から、イオンの生成に関係するヘリウム準安定励起原子と分子との相互作用ポテンシャルについての情報を得て、ペニング電子分光の結果と比較し、ほぼ半定量的な一致をみた。また、ハロゲン化メタンとヘリウム準安定励起原子解離生成物の発光断面積を測定し、ペニングイオン化過程と中性解離過程との分岐比を見積もった。さらに発光断面積の衝突エネルギー依存性から、解離生成物の生成過程がハープーン機構と矛盾しないことを明らかにした。これらの研究成果は、現在、雑誌(Chem.Phys.とJ.Phys.Chem.)に投稿中である。現在、発光断面積の衝突エネルギー依存性については予備的な結果であるが、ヘリウムビーム源や発光観測系を改良して、今後もっと精密な情報を得る予定である。 一方、CF_2Cl_2やCF_2Br_2を放電して生成するCF_2ラジカルと準安定窒素分子との反応過程を調べ、スピン禁制による新しい反応過程を見いだした。
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