• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1992 年度 実績報告書

エレクトロスプレー/質量分析法による多価イオンの生成と反応性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04640437
研究機関山梨大学

研究代表者

平岡 賢三  山梨大学, 工学部, 教授 (80107218)

キーワードエレクトロスプレー / 多価イオン / アミノ酸 / イオンの蒸発
研究概要

イオンを含む溶液をエレクトロスプレすることにより、高度に帯電した液滴を形成できる。この性質を利用してペプチドやタンパク質の100価を超える多価イオンが観測されている。本研究では、イオン生成のメカニズムについて詳細な検討を行った。観測されるイオンの強度分布は溶液中のイオンの濃度分布では説明できないことを見出した。これはエレクトロスプレーで生成した帯電液滴の乾燥に伴い、同一符号のイオンが濃縮される過程で、濃質分子間でイオンの再配列が行なわれるからである。例えば、中性アミノ酸や酸性アミノ酸が塩基性溶媒に存在するとき、これらは中性あるいは負イオンとして溶液中に存在する。ところがこれらのアミノ酸の塩基性溶液をエレクトロスプレーすると、酸性溶液を用いた場合と同様に正イオンが観測されることを見いだした。これは溶液化学の常識では全く説明できない。酸性の溶液がエレクトロスプレーされると、帯電液滴中に多量のプロトンが溶媒和された状態で付与される。このプロトンは帯電液滴の乾燥に伴い、溶媒を失って、中性や負イオン状態の化学種に付加し、最終的に正イオンを形成し、これが液滴からクーロン反発によって蒸発するのである。従って、エレクトロスプレーで観測されるイオンを詳細に解析することによって、帯電液滴中でのプロトン移動反応に関する情報が得られることになる。さらに、イオンの蒸発には、イオンの溶媒和の自由エネルギーが最も重要なパラメーターとなることを明らかにした。帯電液滴からのイオンの蒸発においては、蒸発しやすいイオンと、しにくいイオン間に、蒸発の時間差が生じる。このため、イオンの径方向の空間分布に著しい強度分布の相違が生じることが分かった。蒸発しやすいイオンは、スプレーの周辺に、しにくいイオンはスプレーの中心部に分布する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] K.Hiraoka: "How are ions form from ed electrosprayed charged liguid droplets?" Rapid Communications in Mass Speotrometry. 6. 463-468 (1992)

URL: 

公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi