研究概要 |
TMモードキャビティの調整を繰り返し,キャビティの高感度化に成功した。最終的には,共振モードTM110において従来にない高い負荷Q値3000以上に達した。さらに回路上の調整も行い高感度化エンドールスペクトロメーターを作成することができた。特に生体試料では負荷Q値が減少する傾向にあり,その方面への展開を検討することができた。水溶液試料を目標にするため,TMモードキャビティにうまく適合する偏平試料セルを使用し,その使用条件などを典型的有機カチオンラジカルで検討した。 測定試料系としては,立体障害を受けた有機ラジカル(オルトメチルベンゾフェノンアニオンラジカル)を取り上げ,そのENDORスペクトルの解析から,ESRによる複雑なスペクトルを完全解析することが出来た。この系は非対称分子構造をとり,非等価なプロトンが多数存在するが、ENDORの高感度化により精密な解析が可能になったといえる。 生体関連試料として,酸化窒素のスキャベンジャーとして働くニトロキシドラジカルのENDORスペクトルを測定し,NOとの特異な反応を通して起こるニトロキシドラジカルの反応を追跡することができた。また、、一方偏平試料セルの研究にはウルスターブルーを取り上げ,メタノール溶媒中でENDORスペクトルの完全解析に成功している。
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