研究概要 |
初年度(平成4年度)は高圧下(0〜200MPa)でエンタルピー・体積の同時測定が可能な断熱型熱量計の製作を行う予定であった。製作は研究代表者が設計を行い、当学の工作センターに図面を提出し、作業を依頼する形で行った。現在、工作センターの作業は約8割が終了し、残りは試料容器と体積測定器本体のみである。 当初の計画と大きな変更点はないが、装置のいくつかの点で改良を行った。一つは、体積測定器の本体チューブをステンレスから銅ベリリウム合金に変更したことである。試料の体積変化はチューブ内部の磁石(パーマロイ)の変位量をマグネセンサーで読み取ることにより測定する。ステンレスは強磁性体であるため、パーマロイからの磁場をかなりしゃへいしてしまうが、銅ベリリウム合金は反磁性体であるため、しゃへい効果はほとんどない。第二の変更点は、当初1個であったマグネセンサーをチューブの回りに放射状に複数個(3〜5個)配置するようにしたことである。以上の二つの改良により、当初目標としていた1nmの読取り精度(試料体積の0.001%に対応)が十分実現できそうである。 初年度の補助金で購入した設備備品である真空排気装置(徳田製作所EH-3)と真空計(日酸エドワース,ペニング8)のテストを行ったが、共に順調である。 現在、研究代表者は熱量計内部・外部の配線の準備と測定プログラムの作製を行っている。工作センターの作業の完了を待って、一日も早く熱量計を完成させたい。
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