研究概要 |
1.混合クラスター中でおこる化学反応に対する金属原子の触媒作用について調ベ、新しい化学反応を開発する目的で、従来申請者らが開発してきたレーザーアブレーション・分子ビーム法による金属イオンといろいろな分子クラスター(例(NH_3)_n(CH_3OH)_n,(C_6H_6)_nなど)との反応の研究の中で、CH_3OHとNH_3の混合クラスターと金属イオンの反応を行った。 2.混合クラスターは、NH_3(600Torr)、CH_3OH(10Torr)、Ar(150Torr)の混合気体をパルスノズルから噴出し、生成した。金属イオンは、金属基板上にNd^<3+>:YAGレーザーの2倍波(532nm)を集光し、発生させた。金属イオンと混合クラスターはイオン-分子反応し、錯体イオンM^+(NH_3)_m(CH_3OH)_nを生成する。生成された錯体イオンは四重極質量分析計を用いて検出される。 3.CH_3OH:NH_3が1:60である条件下で、金属イオンと混合クラスターを反応させた結果、錯体イオンN^+(NH_3)_m(CH_3OH)_nを検出した。例としてM=Coの場合に、信号強度ギャップが、CO^+(NG_3)_n,CO^+(CH_3OH)_nではn=2に観測されているのに対して、本研究ではm+n=2に観測された。この反応系のm+n≦2においては分布がNH_3に片寄るが、これは、Co_+-NH_3の結合エネルギーがCO^+-CH_3OHの結合エネルギーよりも大きいからであると考えられる。また、Nb^+と混合クラスターの反応では、アンモニア分子からの水素分子の脱離を伴う錯体イオンをMg^+との反応ではメタノール分子から水素原子が解離した錯体イオン、アンモニア分子から水素原子が解離した錯体イオンとNH_2が解離した錯体イオンを観測した。
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