研究課題/領域番号 |
04640478
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
嶋森 洋 福井工業大学, 工学部, 助教授 (80139815)
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研究分担者 |
辰已 佳次 福井工業大学, 工学部, 助手 (80217752)
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キーワード | 芳香族アミン / 接触イオン対 / 光イオン化 / 励起三重項状態 / 双極子モーメント / マイクロ波誘電吸収 / アニリン誘導体 / ハロゲン化物 |
研究概要 |
○芳香族ジアミン類、とくにテトラメチルパラフェニレンジアミンとテトラメチルベンジジンについて、種々のハロゲン化合物(ハロゲン化べンゼン、ハロゲン化アルキルなど)の存在下で生成する接触イオン対の生成効率と生成反応機構は通常の電子移動反応の特性とは一到せず、むしろ気相におけるハロゲン化合物の電子対着反応の性質と良い相関性があることがわかった。 ○これまでほとんど測定例の無かったアニリンおよびその誘導体(ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン)の励起三重項状態の双極子モーメントを決定した。すなわち、それぞれ、2.1、3.0、3.1、2.1、2.2デバイである。半経験的分子軌道法による計算もこれらの値と同様の結果を与えた。 ○ジエチルアニリン(DEA)の励起三重項状態からハロゲン化合物への電子移動による接触イオン対種の生成機構はDEAとハロゲン化物との平衡で生じた錯合体、ならびにDEA2分子を含む複雑なものであることがわかった。 ○先に四塩化炭素溶媒中のTMPDに関して誘電吸収測定法の測定で示唆された接触イオン対生成を確認する目的で、光吸収過渡測定法を用いた実験を行った。その結果、TMPDの励起三重項状態の吸収の減衰と共にTMPDカチオンの吸収の増大が観測され、非極性溶媒中での接触イオン対種の生成を光吸収の面から初めて確認することができた。 ○XeClエキシマーレーザー光照射による時間分解測定で、低温下での芳香族ケトン類の励起三重項状態の双極子モーメント決定を試みた。低温時の検出感度が非常に悪いため、室温から徐々に温度を低下させる手法を試み、-20℃程度までの測定が可能であることを確認した。より低温下での検出感度の向上と基底状態分子を用いた感度校正測定の改善が次年度以降の課題である。
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