研究課題/領域番号 |
04640489
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
町口 孝久 埼玉大学, 教養部, 教授 (00008864)
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研究分担者 |
山辺 信一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00109117)
長谷川 登志夫 埼玉大学, 教養部, 教務職員 (00237976)
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キーワード | [7]アヌレン / [7]アヌレンチオン / 環化付加反応 / スルフィン |
研究概要 |
前年度(平成4年度)に得られた結果を踏まえ研究を進めた結果、本年度において下記の研究成果を得ることができた。 1.[7]アヌレンチオン類の一般的合成法の確立:炭素原子と硫黄原子との不安定な二重結合(C=S)を有するため、我々が母体[7]アヌレンチオンの合成に成功したこと以外合成されていなかった[7]アヌレンチオン類を一般的かつ簡便に合成する方法を確立した。さらに、これらアヌレンチオン類のスペクトルにおける性質の一般的な特徴を明らかにし、酸素類似体[7]アヌレノンとの顕著な差異を見いだした。 2.母体[7]アヌレンチオンの環化付加反応機構の解明:[7]アヌレンチオン類の反応性の検討の一環として母体[7]アヌレンチオンと代表的なジエノフィルであるフルベン類との環化付加反応の検討を行なった。速度論的ならびに分子軌道による詳細な検討から、今までの環化付加反応では見られなかった新しい分子軌道の相互作用を見いだした。 3.始めての逆電荷型安定スルフィンの合成:スルフィン結合(C=S=O)を有する化合物はチオケトン結合(C=S)を有する化合物同様不安定なため単離されていない。この不安定なC=S=O結合を有する[7]アヌレン化合物を室温のもと空気中で取り扱える安定な結晶として合成することに成功した。さらに構造の検討から、従来のスルフィン類とは全く異なった極性構造を有する逆電荷型スルフィンであることを見いだした。
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