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1992 年度 実績報告書

分子配向制御による新しい有機導電性材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 04640497
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

立光 斉  名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70101277)

研究分担者 迫 克也  名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90235234)
キーワード有機伝導体 / TTF二量体 / 電荷移動錯体 / 分子配向制御 / 淡色効果 / ファスナー効果
研究概要

分子の次元性の増加および分子配向の制御は有機導電性化合物の設計指針として提案されている。前者は有機超伝導体の出現をもたらしたが、後者の指針である分子配向の人為的な制御はこれまでに殆ど例がない。本研究はこの分子配向の制御を利用した有機導電性材料の開発を目的としたものである。我々は分子配向の制御法の一つとして、分子間距離の近接効果に注目した。分子がお互いに接近して重なる傾向のある化合物では電子スペクトルで淡色効果が観測され、理論的な裏付けも行われている。有機電導体においても長鎖アルキル基の疎水性相互作用による近接効果も報告があり、ファスナー効果として知られている。したがって、この二つの分子設計指針を取り込んだ化合物を合成することにより、新しい型の導電性材料の開発が期待される。本研究で合成したドナー化合物はTTFの側鎖に4個のヘキシルチオ基またはブチルチオ基を導入した対称型(2種類)および非対称型TTF二量体(1種類)である。これらの化合物の電子スペクトルの最長吸収極大はいずれも414nmであり、分子面の捻れはすべて同程度と考えられる。しかし、吸収の度合いはテトラヘキシルチオ基を有するドナーではラトラブシルチオ基を有するドナーに比べて大きな淡色効果を示している。また非対称型のドナーでは淡色効果は見られないことから、テトラヘキシル基を有するドナーの分子間距離は極めて小さい、すなわち分子配向がファスナー効果により幾分制御されていることが推測される。これらの化合物の第一酸化還元電位は0.54〜0.55V/SCEでドナー性の差は見られない。また、いずれもDDQ、ヨウ素と電荷移動錯体を形成して黒色粉末を与えるが、粉末の電気伝導度の測定ではいずれも絶縁体の領域であった。現在単結晶の作成を行っており、X線結晶構造解析によりドナー分子の配向についての確認を行う予定である。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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