研究課題/領域番号 |
04640500
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市原 潤子 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (60110772)
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研究分担者 |
伊藤 嘉昭 京都大学, 化学研究所, 助手 (40223200)
山高 博 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60029907)
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キーワード | 固・液界面反応 / 固体複合試薬 / フッ素化反応 / 有機フッ素化合物 |
研究概要 |
すでに、アセトニトリル溶媒中での臭化ベンジルなどのフッ素置換反応において、フッ化カリウム試薬をフッ化カルシウム固体に担持して用いると、フッ化カリウム単独で用いた場合よりも大幅な反応性の向上がみられることを見いだしているが、今年度はこのような複合フッ素化試薬の反応性に及ぼすフッ化アルカリの種類、およびそれと組み合わせる固体担体の種類の影響について検討を加えた。その結果、フッ化カルシウムとの複合による反応性の向上は、KF以外のフッ化アルカリを用いた場合にも同様にみられ、フッ化アルカリ本来の反応性に比例して複合試薬の反応性はCsF-CaF_2>KF-CaF_2>NaF-CaF_2の順となった。NaF-CaF_2試薬はこれら中で最も反応性は低いものの、特に不安定な塩化アシルやクロロホルメート類のフッ素化に有効に働き、対応するフッ素化物を良い収率で与えることが明らかになった。固体担体としては、他にフッ化バリウムやフッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属フッ化物を用いた場合にも促進効果がみられた。しかし、これら担体の中でフッ化カルシウムの場合より高い反応性を示すものはなく、反応の促進にはフッ化カルシウムの広い表面積が一部寄与していると推察する。一方、2価のフッ化鉛は元来反応性が低く、気一固の高温条件の場合を除いてこれまで有機化合物のフッ素化に用いられた例はない。ところが、フッ化鉛に対してNaF,NaBrなどのナトリウム塩を小量複合させると、臭化ベンジル類のフッ素化に有効に働くことが今回新たに見つかった。このNaX-PbF_2複合試薬はフッ化ベンジルの生成に伴い、新規無機化合物に変換することがわかり、すでに見いだしているMF-CaF_2複合試薬とは異なった新しいタイプの複合フッ素化試薬として今後の発展が期待される。
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