昨年度に引き続き、右に示す高分子化合物の合成とその物性検討を行ってきた。先ず、化合物2は非線形光学機能を有する化合物1の誘導体としての興味からこの合成を試みた。その結果、液晶としての熱的性質は化合物1のそれに極めて類似しておりネマチック相のみを示す。又、ネマチック状態に於て電場応答性も見られ、電場効果により分子配列の制御が可能であることがわかった。今後、その光学的性質を検討する予定である。化合物1、2の誘導体として化合物3の合成も試みた。この化合物は液晶核部分が主鎖に対し、傾斜した配向を取ると考えられ、その熱的挙動に興味を持って研究を行った。スペーサー長が6、7、8の同族体について検討した結果、これらはいずれもスメクチックA-スメクチックCの相系列を持ち、その透明点は約150℃であった。この事から、これらのポリマーの液晶性は主鎖に対する液晶核の配置が支配的であることがわかった。すなわち、液晶核が主鎖に直交する配置の時スメクチック配列を取り易く、平行になるに従って、ネマチック性を帯びることがわかった。又、化合物3のスメクチックA相は典型的なファン組織を示し、電場応答性は全く見られない。又、化合物1、2とは異なり、高い結晶性を示す。
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