ビスマスを用いる有機合成反応の開発について検討した結果、以下の事実が明らかになった。 1.金属ビスマス存在下、プロパルギルブロミドと種々のアルデヒドを反応させると、アレン誘導体とアセチレン誘導体の混合物が得られた。 2.三塩化ビスマスの存在下、エポキシドを芳香族アミンと反応させると対応するβ-アミノアルコールが得られることが明らかになった。 3.触媒量の三塩化ビスマスあるいはビスマストリフラートを用いて、トリメチルシリルシアニドを種々のアルデヒドと反応させると、シアノヒドリンのシリルエーテルが定量的に得られた。光学活性な酒石酸ジエチルエステルから調製した不斉ビスマス触媒を用いてこの反応を試みたところ、58%の光学収率で光学活性シアノヒドリンが得られた。 4.三塩化ビスマスの存在下、アリルトリメチルシランと2モルのアルデヒドを反応させると、ピラン誘導体が得られた。 5.三塩化ビスマス-亜鉛系を用いて、アリルブロミドをイミンと反応させると、ホモアリルアミンが得られた。
|