研究概要 |
第四紀ドロマイト岩が地表に露出する北大東島の全島域から炭酸塩岩試料を40個採取し、粉末X線回折法で構成鉱物を同定、酸分解後、CaO及びMgOをEDTA滴定法、FをZirconium-Eriochrome Cyanine R吸光光度法、Sr、Na、Fe及びMnをフレーム原子吸光法で定量した。 試料は大部分白色で、ケイ酸塩鉱物などの不純物含量は非常に少ない(平均Fe含量59ppm;標準偏差63)。構成鉱物はカルサイトとドロマイトで、試料によっては両鉱物が共存する。ドロマイトは回折ピークが31.0(2θ,CuKα)より低角度側にずれたプロトドロマイトであり、30.64から30.97までかなりドロマイト化の程度に差がある。カルサイトも29.4よりも幾分高角度側(29.40〜29.75)に偏位した高Mgカルサイトである。 完全にドロマイト化した12試料のMgO含量は18〜20%であり、カルサイトのみからなる試料ではMgO含量は3%以下である。Mg含量をカルサイトとドロマイトの共存比の尺度とすると、F含量とMg含量との間には正の相関関係(γ=0.89,n=40)が認められ、ドロマイトのみからなる試料(n=12)の平均F含量は550ppmである。これは、ドロマイト化反応(2CaCO_3+Mg^<2+>→CaMg(CO_3)_2+Ca^<2+>)の過程で、Mg^<2+>とともに反応サイトにもたらされたF^-がドロマイトの生成によって放出されるCa^<2+>イオンと反応し、難溶性のCaF_2としてドロマイト中に取り込まれた結果と考えられる。なお、Sr含量やMn含量、水に不溶なNa含量とMg含量との間には正の相関関係は認められなかった。
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