研究課題/領域番号 |
04640559
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分析・地球化学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
出口 俊雄 熊本大学, 理学部, 教授 (00040113)
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研究分担者 |
田中 明 熊本大学, 理学部, 助手 (50163499)
實政 勲 熊本大学, 理学部, 教授 (60040119)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | シクロデキストリン / 疎水性溶質 / 包接 / 包接体組成 / 異種溶質の包接 / 金属水銀 / 芳香属炭化水素 / 会合 |
研究概要 |
シクロデキストリン(CD)は環状のオリゴ糖であり、空洞を有する特異な構造をしている。CDが水溶液中で種々の疎水性溶質をゲストとして空洞内部に取り込み包接体を形成する現象を分析化学に応用すべく、基礎的研究を行った。ゲスト分子とCD空洞との立体適合性、包接体の水溶解度、包接体の組成、および包接体からのゲスト分子の逃げだしを明らかにすることに成功した。(1)ゲスト分子とCD空洞との立体適合性を明らかにする目的で、金属水銀とCDとの会合について研究した。単体水銀はα-CDと11包接体を作るが、β-およびγ-CDとの包接体は形成しないことが判明した。この結果は、疎水性溶質がCD空洞内に安定に包接されるためには、溶質の大きさがどの程度以上なければならないかを判定するのに役立つであろう。(2)疎水性溶質を包接したCD錯体を水溶液中から沈殿として単離する調整法を確立し、その沈殿の組成を決定した。また、上澄み液中のCD濃度を測定し、沈殿生成の要因を明らかにした。(3)二種類の異種ゲスト物質が共存するときのCD包接体沈殿の組成がゲスト物質のどのような物性によって決定されるかを明らかにする研究を行なった。β-およびγ-CDはナフタリンとビフェニルの異種溶質混合ゲストの存在下で水溶液中から沈殿することがわかり、その沈殿物中のナフタリンとビフェニルのモル比は、各々のゲストの水に対する溶解度とCD:ゲストの1:1会合定数との積の比に等しいことが判明した。(4)21種類のゲスト物質を包接させたCD錯体を調製し、水溶液中から単離し、空気中に放置したとき、ゲスト分子の揮発損失がゲスト物質のどのような物性に関係しているかを研究した。その結果、ゲスト分子とCD空洞との立体適合性が重要であるという結論が得られた。
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