研究代表者および分担者は、数年前より共同で、β-ジケトンキレートガスと反応ガスとの気相反応を用いる化学気相成長法(CVD法)を利用して、高純度で良質の結晶性の希工類およびアクチノイド固体化合物を得、そのキャラクタリゼーションを行ってきた。本科学研究もその一貫して展開している。本年度の主な展開点を整理して述べる。 1。これまで常圧による熱CVD装置を使用し展開してきたが、今年度真空装置と連結することにより、減圧熱CVD系を新しく作製し、その予備的検討を行った。減圧法は常圧法に比べ残留不純ガスを除去できるため化合物の純度が高くなった。今度実際のCVD膜を作成する際に有効に働くと考えられる。 2。反応ガスとして、アンモニアを用いて窒化物を合成する実験を主として組んだ。窒化物の合成には未だ成功していない。この原因はβ-ジケトンキレートガスの問題点として、アンモニアの分解とキレートの分解の温度の違いにあると考えられた。 3。反応ガスとして、次にフロンと酸素の混合系を利用する。フッ化物、塩化物の合成を考えた。この系での実験は成功した。各種フッ化物(三フッ化物、オキシフッ化物等)が分別合成できる点を発見した。三フッ化物は今度種々の原料化合物として、オキシフッ化物は光材料特に放射線計測材料として注目されている。この点は平成5年度の課題である。 4。新たなβ-ジケトンキレートガスの探求も始めている。従来はジピバロイルメタンキレートを主として展開してきたが、今含フッ素β-ジケトン配位子を利用している。この研究は、CVD法の金属蒸気源の研究として注目されている。 以上の成果をもとに、平成5年度も引き続き上記テーマを展開する。
|