研究概要 |
研究代表者は,研究分担者と共にβ-ジケトンキレートを金属蒸気源とする化学気相析出(CVD)法を,ランタノイドおよびアクチノイド化合物の微量合成法に利用しようとしている。昨年までは主として,揮発性,熱安定性に優れたジピバロイルメタンキレートを原料として選び,すでにランタノイドおよびトリウム,ウラン酸化物,ランタノイド硫化物,およびフッ化物の調製法を開発してきた。今年度は,2成分の金属を含む化合物を, (1)2種類のジピバロイルメタンキレートを利用 (2)昇華性の含2金属ヘキサフロロアセチルアセトンキレートを利用 によってCVD法で合成しようという試みた。まず(2)の対象として新しい原料キレートTlLn(hfa)_4型を開発し,Ln(III)の軽ランタノイドとしてNd(III)を,重ランタノイドとしてYb(III)を選び調製し検討した。これまでにTlLn(hfa)_4の合成についての報告はないので,合成の基本的な方針はCsLn(hfa)_4の方法とまず同じように行い検討した。その中で次の方法が良い収率であった。エタノール中でTl(I)酢酸塩を良く撹拌しながら,配位子ヘキサフロロアセチルアセトン(H-hfa)を当量加えることにより,Tlhfaが生成する。TlhfaとLn(NO_3)_3とをエタノール性水溶液中で(4:1)の割合で反応させる。pHを8-9に調整することにより合成した。また(1)の対象としてこれも新しいTl(dpm)キレートを合成しCVD原料として利用できるよう方法を確立した。
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