研究概要 |
本研究では,メチロトローフバクテリアから得られるメチルアミン脱水素酵素とブルー銅タンパク質の単離,精製と,それらの間の電子移動反応を検討することを目的としているが,初年度は,それらのタンパク質の単離,精製に成功した。次年度は,それらの電子移動を検討する計画である。これらの研究の比較として,脱窒菌Achromobacter cycloclastes IAM1013から得られるシュウドアズリン(ブルー銅タンパク質の一種)と銅型亜硝酸還元酵素(シュウドアズリンから電子を受け取り,亜硝酸イオンを一酸化窒素に還元)間の電子移動を調らべた。これは,シュウドアズリンのサイクリックボルタモグラムにおいて,亜硝酸還元酵素と基質の存在により現われる触媒電流の大きさから酵素の活性を見積もるもので,還元型シュウドアズリンから亜硝酸還元酵素への電子移動速度を求めることができた(研究発表Chem,Letl.)。この2つのタンパク質間電子移動反応を電気化学的に観測する手法は,他の酵素系に十分応用できることが明らかになった。また,本年度はやはり脱窒菌の一種であるハイホミクロビウムからの亜硝酸還元酵素も単離,精製することができた。この酵素は上記のAchromotacterからのものと同様,タイプI銅とII銅の2種類の銅を含んでいるが,タイプI銅の分光学的性質は,今まで報告されているものと大きく異なる新らしいものであった(研究発表Inorg.Chim.Acta印刷中)。
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