研究概要 |
メチロトローフの一種であるMethylobacterium Jから、メチルアミン脱水素酵素(MADH)と、2種類のアズリン(Az-MJ1,Az-MJ2)を単離精製た。そして、これらのアズリンと、Alcaligenes sp.のアズリン(Az-As)、Achromobacter cycloclastesのシュウドアズリン(pAz-Ac)、Methylobacterium extorquens AM1のアミシアニン(Am-Me)を、上記のMADHからの電子受容体として用いた。基質により還元されたMADHからの電子受容反応速度は、pH7においてアズリン類のサイクリックボルタンメトリー法から求めた。すなわち、基質であるメチルアミンの存在下、MADHの溶液に上記のブルー銅タンパク質を加えると青色は消失するが、サイクリックボルタンメトリーにより触媒電流値を求め、それよりMADHからブルー銅タンパク質への電子移動速度定数を得た。速度定数は、Az-As>Am-Me>Az-MJ1>Az-MJ2の順に小さくなることが明らかとなった。また、pAz-Acは活性を示さなかった。これらのブルー銅とMADHとの相互作用については、ブルー銅タンパク質では、銅に配位しかつタンパクの外側に一部露出したヒスチジンを取り囲む疎水性アミノ酸群が重要な役割を演じているものと推定された。 これらの実験は、電子受容体のサイクリックボルタンメトリーからその分子間電子移動速度定数を求めることが可能であることを示したが、逆に電子供与体のサイクリックボルタンメトリーからも分子間の電子移動速度定数を求めることができることを明らかにした。後者の例として、還元型シュウドアズリンからの亜硝酸還元酵素への電子移動速度定数の測定がある。本研究では、両者のケースにおいて速度論的パラメータを電気化学的に求められることを実証した。
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