研究概要 |
本年度に計画していたコムギ祖先野生種Tritinuratry,T.boeoticun,Aegilops speltoides及びAe,sguarrosaの各約20系統からの全DNAの抽出を終えた。Ae,speltoidesとAe,sguarrosaについては4-cuttu制限酵素を用いた制限地図秀型現象を8つの葉緑体遺伝子を含む14Kbの領域について調べた。その2つの種において葉緑体ゲノムのヌクレオチドあたりのヘテロザイゴシティは、それぞれ0.0008と0.0003と期待されるように極めて小さい値が得られた。 また、パンコムギの倍数性進化に関わったと思われる2倍性の祖先野生種Ae,speltoides、4倍性の祖先野生種T D21 D2clicoccridesとT D21 D2araraticumのプラストタイプを6倍性のパンコムギ(T D21 D2aestivum)のものと比較し、系統関係を調べたところ、Ae,speltoidesの一系統が、パンコムギのものと極めてよく似たプラストタイプを持つことが明らかになった。この結果は、現在まで不明であるパンコムギのBゲノム提供親が、Ae,speltoidesであることを強く示唆するものである。この仮説をさらに検証するために、Ae,speltoidesの系統数を増やすと共に、シトプシス節に属する他の4種の2倍性祖先野生種についても、本年度行なったと同様の解折を計画している。 ミトコンドリア及び核ゲノムに存在する遺伝子領域の変異の解折は、現在進行中である。ミトコンドリア遺伝子領域のクローンを入手し、2倍性野生種Ae,speltoidesの種内変異を調べるため、6-cuttu制限酵素を用いいたサザン解折を行なっている。核ゲノムの遺伝子に関しては、単一コピーで存在するFBP遺伝子領域と多重遺伝子族であるrbcS遺伝子領域の塩基配列決定を計画している。
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