研究概要 |
細胞遺伝学的な方法を用いての検索は昨年度に終了しているため、本年度は放出DNAの分子遺伝学的検索とムラサキヌタウナギの放出DNA断片を用いて海外産の3種のスクリーニングを行った。単離した海外産3種のDNAを制限酵素DraI,PstI,EcoRI,HaeIIIで消化し、電気泳動したところ、Eptatretus cirrhatusにおいて生殖細胞に特異的なDNAが見いだされた。このうちDraIで見いだされた約100bpのDNAをプローブとしたサザンブロットハイブリダイゼーションを行った結果、このDNAは、E.cirrhattusの生殖細胞にのみ、縦列型で反復していることが明らかとなった。更にin situハイブリダイゼーションの結果、このDNAはCバンド陽性の生殖細胞に特異的な染色体に分散して分布していることが判明した。また、DraI消化の場合、本邦産のクロメクラウナギ(Paranyxine atami)においても生殖細胞に特異的な約100bpのDNAが検出され、上述と同様の実験により、このDNAはP.ataniの生殖細胞に加え、E.okinoseanusの生殖細胞でも縦列型に反復していることが明らかになった。 本邦に産するE.okinoseanusより分離された放出DNA断片EEEo1をプローブとして、BstIとEco RVでそれぞれ消化された各種DNAへのハイブリダイゼーションの結果は、E.stoutii並びにP.ataniの生殖細胞に微弱なハイブリッドシグナルが認められた。これはこの配列がE.okinosearusに極めて特異的であることを示唆している。一方、EEEo2をプローブとして,DraI消化のメンブレンへハイブリダイゼーションとしたところ、P.ataniの生殖細胞に強いシグナルが認められた。これはこの配列がE.okinoseanusの生殖細胞のみならずP.atamiの生殖細胞にも存在することを示している。
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