研究概要 |
1.森林植生の関しては、鳥取県三徳山において、海抜差400メートルにおよぶのブナ林において、垂直分布に伴う構成種の交替率を研究した。ただし、予定していたシイ林〜カシ林までの交替は、照葉樹林城の植生自然度が低いため、ブナ林への連続的な資料は得られなかった。 2.種組成の変化にはCC類似度を用い、logY=IA+bXの回帰式から変化率bを求める方法を取った。 3.ブナ林においては、木本構成種の変化率=-.00038,草本種=-.00044,全層群落=-.00040が得られた。この数値は、対馬・龍良山の照葉樹林について既知の数値(上記の順に、-.00095.-.00148,-.00121)よりは低い。この相違の理由は現時点では不明である。 4.しかし両者の間では、変化率は木本種<草本種の関係が共通して見られる。これは植生の垂直分布において、木本よりは草本の交替が早いことを意味している。 5.コケ植生に関しては、1枚岩の上における明暗/乾湿の環境傾度上での構成種の変化率を研究した。ここでは、森林植生における標高に代わる環境軸として、起点からの距離(m)を用いた。 6.距離に対する組成の変化率は-.063〜-.289であったが、この数値を比較出来る対象が未だない。 7.今後の課題:(1)森林植生ならびにコケ植生においても、適切な方形枠の面積の調査、(2)組成類似度は何がよいか、(3)環境傾度に物理的な尺度が得られない場合(いわゆる間接環境傾度分析の場合)の扱い、(4)起点スタンドと共通種がなくなる以遠の扱い。
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