低CO_2条件に適応した単細胞緑藻Chlorella vulgaris 211-11hの生細胞によるグリコール酸の取り込みが、キャリアータンパクによるエネルギー依存の能動輸送であることを示した。更に、その取り込まれたグリコール酸がグリコール酸経路によって代謝されることおよびその取り込みが代謝速度により律速されることが分った。そのため、単離細胞膜を用いてその膜透過機構を調べるため、まず細胞膜の単離と精製を試みた。 クロレラのような強固な細胞壁からの細胞膜単離法は未確立であったため、まず、その方法を確立した。 1.水性二層分配法およびショ糖密度勾配遠心法による純度の高いクロレラ細胞膜の単離法を確立した。 2.細胞膜ATPaseはMg^<2+>依存のH^+-ATPaseであり、Km(ATP)=1.64mM、Vmax=4.31μmol Pi/mg protein/minであることを明らかにした。 3.生細胞によるグリコール酸の取り込みを、膜不透過性タンパク修飾剤ジイソチオシアノスティルベン(DIDS)がCO_2輸送や光合成活性を阻害することなしに特異的に阻害することを見出した。 4.この^3H-DIDS結合性を利用して単離細胞膜標品から^<14>C-グリコール酸の膜輸送に関与するトランスポータータンパクの同定と単離を、detergentで可溶化後、グリセロール密度勾配遠心法で分離し、放射性画分を得、その画分をポリアクリルアミド電気泳動法(nativeおよびSDS-PAGE)で分離し、オートラジオグラフィーを用いて検出する方法を試みた。しかし、グリコール酸輸送活性が誘導される低CO_2条件において該当すると思われるポジティブバンドを検出したが、量的な困難さからそれを確定することはできなかった。ただし、グルコースおよび酢酸添加により誘尊されるトランスポータータンパクに相当するタンパクバンドを同定した。
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