1.光化学系Iアンテナクロロフィルの再構成:ホーレンソウより得た光化学系I粒子を凍結乾燥した後、水飽和エーテル処理することにより、アンテナクロロフィルの95%以上が抽出されるが、反応中心クロロフィルであるP700は殆ど抽出されない。1)このアンテナ抽出粒子を緩衝液に懸濁し、Chl-a(ethanol溶液)を加えると、Chl-aは粒子に結合するがアンテナとしては働かない。2)Chl-aがアンテナとして再構成されるためにはリン脂質を共に加える必要があり、ホスファチジルグリセロール(PG)が最も有効で、MGDGがそれに次ぎ、PC、PI、DGDGは殆ど効果が無かった。3)PG分子中の2個のアシル基がdilauroyl(C12:0)基のとき、Chl-aは粒子に結合しない。しかし、dimyristoyl(C14:0)PGはアンテナ再構成に最も有効で、炭素数が16から18に増えるに従って効果は低下した。不飽和結合を持つアシル基(C18:1、C18:2等)は炭素鎖が長くても、C14:0をもつものとほぼ同程度に有効であった。4)PCは、いずれのアシル基のものも殆ど効果がなかった。5)Chl-bをPGと共に加えると、アンテナとして再構成された。Chl-bを含まないラン藻を材料とした同様な実験結果から、Chl-bはChl-a結合部位に結合すると推定された。6)Pheo-a、BChl-aは粒子に結合するが、いずれもアンテナとしては働かなかった。 2.P700の再構成:1)エーテルにacetaldehydeを少量加えると、水飽和エーテルを用いたときよりアンテナ色素はより抽出され、さらに、アルデヒド含量を上げることにより、P700もある程度抽出される。2)Chl-aをやや高濃度のMGDGと共にP700抽出粒子に加えると、Chl-aはアンテナ結合部位には結合せず、P700結合部位近辺に結合し、P700が一部再構成された。再構成されたP700は本来のものとほぼ同様な酸化還元差スペクトルを示した。
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