• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1993 年度 研究成果報告書概要

液胞タンパク質前駆体のベシクル輸送とプロセシング機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 04640632
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 植物生理学
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

西村 いくこ  岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00241232)

研究分担者 HARA-NISHIMOTO Ikuko  National Institute for Basic Biology, Department of Cell Biology, Research Assoc (00241232)
研究期間 (年度) 1992 – 1993
キーワード液胞 / プロテインボディ / 輸送ベシクル / 液胞プロセシング酵素 / 種子タンパク質 / 2Sアルブミン / プロ型前駆体タンパク質 / ヒマ胚乳
研究概要

登熟期の種子細胞に見られる液胞は、粗面小胞体で多量に合成されてくるいわゆる貯蔵タンパク質を蓄積する。この液胞は種子の乾燥に伴い水分を失ってプロテインボディと呼ばれるオルガネラに変換する。申請者はこのような液胞のオルガネラとしての機能的変動に解析を加えてきたが、本研究ではその一環として、1)液胞タンパク質前駆体のための輸送小胞の解析と、2)成熟型タンパク質への変換系の解明を目標とした。
1)前駆体タンパク質の輸送に関与しているベシクルの解析を行った。登熟カボチャ子葉細胞内の輸送ベシクルを電子顕微鏡観察した。ついで、各種の種子タンパク質に対する特異抗体を用いて免疫電顕を行い、複数種の前駆体タンパク質が同一ベシクルによって輸送されることを示した。また、このベシクル上にGTP結合タンパク質が存在していることが判明し、小胞輸送系への関与が示唆された。
2)液胞タンパク質前駆体を成熟型に変換するプロセシング酵素をヒマ種子より単離精製し、特異抗体を作製した。これを用いて、本酵素がヒマ種子登熟中期より合成され、発芽に伴って減少していくことを示した。また、この液胞プロセシング酵素が本葉などにも存在することから、このプロセシングの系が種子以外の液胞タンパク質の成熟型への変換にも関与していることが示唆された。免疫電子顕微鏡観察より本酵素が液胞のみならず、上記のベシクルにも存在していることが解った。しかし単離したベシクル内では前駆体のプロセシングは起こらないことから、ベシクル中の酵素は不活性型であることが示唆された。そこでこの液胞プロセシング酵素の構造を解明するため、本酵素のcDNAを単離した。その構造解析の結果、液胞プロセシング酵素はcysteine proteinaseではあるが、既知のcysteine proteinasesとは類似性を示さず、唯一住血吸虫Schistosoma mannsoniで報告されている推定上のproteinaesと33%の同一性を示した。また、この翻訳産物は55kDaで、N末端のシグナルペプチド、37kDa活性酵素領域、そしてC末端のプロ領域からなっていた。前駆体はプロセシング活性を持たず、活性発現のためにはC末端プロ領域の除去が必要であることが判明した。即ち、液胞プロセシング酵素は、ベシクル内では不活性なプロ型で存在し、液胞内でC末端プロ領域が切断され、活性型に変換することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Hara-Nishimura,I.: "Molecular characterization of a vacuolar processing enzyme related to a putative cysteine proteinase of Schistosoma mansoni." Plant Cell. 5. 1651-1659 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Hara-Nishimura,I.: "Vesicle transport and processing of the precursor to 2S albumin in pumpkin." Plant Journal. 4. 793-800 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Hiraiwa,N.: "A vacuolar processing enzyme in maturing and germinating seeds:its distribution and associated changes during development." Plant & Cell Physiol.34. 1197-1204 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Nishimura,M.: "Leaf peroxisomes are directly transformed to glyoxysomes during senescence of pumpkin cotyledons." Protoplasma. 175. 131-137 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 西村いくこ: "液胞タンパク質前駆体のための輸送ベシクルとプロセシング" 植物細胞工学(秀潤社、東京). 5. 348-356 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 西村いくこ: "液胞タンパク質の輸送小胞と液胞内におけるプロセシング" バイオサイエンスとインダストリー(バイオインダストリー協会、東京). 35-38 (199)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Hara-Nishimura I.: "Molecular characterization of a vacuolar processing enzyme related to a putative cysteine proteinase of Schistosoma mansoni." Plant Cell. 5. 1651-1659 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Hara-Nishimura I.: "Vesicle transport and processing of the precursor to 2S albumin in pumpkin." Plant Journal. 4. 793-800 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Hiraiwa, N.: "A vacuolar processing enzyme in maturing and germinating seeds : its distribution and associated changes during development." Plant & Cell Physiol.34. 1197-1204 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kinoshita, T.: "Nucleotide sequence of a transmembrane protein(TMP-C)cDNA in Arabidopsis thaliana." Plant Physiol.in press. (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 1995-03-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi